11. 教育論・育児論

教育論・育児論 教育、専門家のコラム


親のまなび 特別編 「失敗の本質の本質」 ~教育こそが全ての根源~

親のまなび 特別編 「失敗の本質の本質」 ~教育こそが全ての根源~   人類の進化とは前頭連合野の機能を高めることであり、子育て・教育が目指すべきはそこにあると言っても過言ではありません。これは「受験通信教育」の第七話で述べたことです。 しかしながら、日本の子育て・教育は今まで個別的なIQを高めることに偏重し、それらの各知能を参照にしながら問題解決する能力、人と関わる能力、いわゆる前頭連合野の機能を高めることに重点を置いていませんでした。IQテストは米国陸軍では人材鑑別に役に立たないとしてすぐに廃止されたと聞きます。受験勉強も、これからの時代が […]


成長の樹 6 ~人類進化の方向性(より良く生きるために)~

より良き保育・子育て・教育を見出すためには、その教育法がどの様な人間を造りだすかを見極めることが必要です。同時に、人類の進化の方向性を探り、教育法と人類の進化が合致しているか確認しなくてはなりません。人類進化の方向性と教育法が合致していれば、その教育法は自然の摂理に沿ったものと言えましょう。 人類の進化は「前頭連合野」の発達によるもので、他の類人と比べ「前頭連合野」の大きさが5倍に発達しました。 進化論的な見方で人類の進化を見てきましょう。 人類はよりよく生きるために、二つの方向性の進化をしました。 ① 計画能力、問題解決能力の向上 ② 社会の一員として […]


3-3 大人のレジリエンスを高める方法 ~育児と発達心理~

3章 レジリエンス (特別コラム) 大人のレジリエンスを高める方法 ~育児と発達心理~ 子供のレジリエンスを高めるために一番大事なのは子供に精神的にもっとも大きい影響を及ぼしている養育者のレジリエンスを高めることです。養育者の言動を見て子供は自然とそれを真似るようになるからです。それでは、大人のレジリエンスを高める方法を3つ簡単に紹介したいと思います。 1.規則正しい運動でストレスを溜め込まないようにしましょう。 週に3回以上、一回30分以上の運動が効果的だと言われています。一度に過度な運動はむしろ害となります。ハーバード大学の精神科の医師であるジョンラ […]


3-2 レジリエンスを高める育児法 ~育児と発達心理~

3章 レジリエンス 2節 レジリエンスを高める育児法  ~育児と発達心理~ 「自分の失敗を笑い、そしてそこより学べ。自分の苦労を笑い草にしつつ、それから勇気をかきあつめよ。困難を笑い飛ばしながら、それに打ち勝て。」これは人気小説「赤毛のアン」に出て来る言葉です。赤毛のアンはレジリエンスの代表的な人物と言われています。彼女は孤児として不幸な子供時代を過ごして、恵まれていない状況にあったのにも関わらず、賢くて愛情あふれるきちんとした女性に育ちます。彼女は緑屋根の家に住んでいる心が温かい老夫婦の養子となることをきっかけに愛情あふれる環境、いい友達関係、近所との […]


3-1 レジリエンスとは? ~育児と発達心理~

3章 レジリエンス 1節 レジリエンスとは? ~育児と発達心理~ 「一人の子どもを育てるには、一つの村が必要である。(It takes a village to raise a child.)」これはアフリカのナイジェリアで言い伝われていることわざです。子供一人を育てるのに一つの村全体の大人達の知恵と協力が必要であるという意味です。日本では子供一人を育てるのに必要な教育費(幼稚園から大学まで)は780万円から3000万円と言われています。つまり、子供一人を育てるには社会全体の知恵や協力だけではなく、経済的にも相当な負担がかかるということです。大事な我が子 […]


セルフエスティームとレジリエンスへの影響 ~ 育児と発達心理学講座 ~

2章 愛着 3節 セルフエスティームとレジリエンスへの影響 育児と発達心理学講座 一覧 「成功とは失敗がない状態ではなく、困難や試練を克服した状態の事を言う」。筆者が最近読んでいる本の書き出しに書いてある言葉です。この本によると、偉人達は大変な困難や試練を乗り越えて、偉人になったのではなく、むしろ困難や試練にぶつかったため、偉人になったのだと記されています。つまり、困難や試練を経験した時、挫折し諦めるのではなく、自分の能力を信じ続け、努力を惜しまなかったとからさらに成長することができた結果、偉人と呼ばれるようになったわけです。もしかしたら、どんな状況でも […]


新型コロナウィルスによる学校の対策

(韓国、アメリカ、日本の比較) ~ そこから見える日本の小学校の対応、その問題点と今後の課題 ~ 4月4日東京で新型コロナウィルスの感染確認された人は118人になり、とうとう1日の新たな感染者数が100人を超えました。2月の末、休校から始まった「無理やり春休み」はもうすぐ終わります。しかし、新型コロナウィルスは収まるどころかますます増え、東京だけで、一日の感染者数の新記録を日々更新中です。現在、日本の感染者数は氷山の一角でしかないと海外では言われています。感染者数が世界で一番多いアメリカでさえ(2020年4月4日基準)、在日アメリカ人の帰国を呼び掛けてい […]


2019年度の総括 各国の教育改革(1)

幼稚園・小学校受験所感 昨年の受験は概ね一昨年と変化はなかったと思いますが詳細は今後コラムに漸次投稿します。昨年度私として感じたことを述べます。 願書・面接指導を正式なサービスとする 昨年度は願書・面接指導を行っておりませんでしたが、縁あって数家族の方の願書・面接にかかわりました。幸い皆さま最善の学校への進学が決まりましたが、直前であったりして十分な対応ができなかった面もありました。本年度は体制を整えて臨むことといたします。 本物になること 私が幼児教室を創業し、運営していたころ、小学校難関校の考査の一部はかなり難問で、子どもに準備のためかなりの負荷を負 […]


愛着行動は哺乳類の本能

「我が子が可愛ければ、決しておんぶ抱っこをするな!」、「泣いている子をあやすな!」現代では考えられない育児法ですが、これは1950年代、実際アメリカでもてはやされていた育児法です。実は当時、スキナーもフロイトも「スキンシップは子どもをダメにする近道」と主張していました。とにかく、親は我が子を強い子に育てるために、とてつもなく厳しい育児をしていました。新生児でさえ、親と離れて寝かされ、夜泣きをしても決して、あやしてはいけないと信じていました。つまり、親の役割とはただ栄養バランスの良い物を食べさせ、手入れの行き届いた洋服を着せれば良いと思っていた時代です。し […]


養育者のセルフエスティーム(自尊感情)と世代間伝達

「我が子に自分みたいな人生を送って欲しくない」、「自分よりはもっと幸せになって欲しい」と思ってはいませんか?もし、そうであるとしましたら、子育てを見直す必要があると思います。なぜならば、親のセルフエスティームは愛着と同じように世代を受け続き伝達するからです。(詳しくは筆者の「愛着タイプと養育の特徴」をご覧になってください。)つまり、親が高いセルフエスティームを持つと子供も高いセルフエスティームを持つ可能性が高いとのことです。 まず親のセルフエスティームを知るために表1.にMimura & Griffiths (2007)がRosenbergのセル […]


人格形成とセルフエスティーム(4高)

ハーバード大学のジョセップ教授は「セルフエスティームは、成功するのに必要な要素の一つである。」と主張しました。環境にあまり影響されず、自分を信じ、ありのままの自分を受け入れることができるセルフエスティームは、万が一失敗したとしてもその挫折感は軽いはずです。つまり、失敗にめげない事はトコトン挑戦し続けるエネルギー源となり、数多い挑戦は成功する確率をも上げるわけです。要するに、セルフエスティームがその人の人生に大きくかかわっていると言えるでしょう。 それでは、高いセルフエスティームはどのような人格形成に影響を及ぼすのでしょうか? セルフエスティームが人格形成 […]


セルフエスティームを高める育児法2

3. 安心して自分の考えを話せるような環境づくり。 人間は様々な感情をもっています。肯定的な感情も否定的な感情も人間だからこそ感じる大切な感情なのです。子供が感じる肯定的感情だけではなく、否定的な感情も受け入れましょう。子供は自分の否定的な感情も親が受け入れてくれれば、自分の感情をそのまま表現しやすくなります。その否定的な感情さえ受け入れてあげることが子供に自分が愛されている、あるがままに受け入れてもらえていると感じさせる最高の方法だと思います。親としては難しいことかもしれません。教育をしなくてはという気持ちが強いからこそ、子供の否定的な感情の時、否定を […]


セルフエスティームを高める育児法1

セルフエスティームとは簡単に言えば、根拠のない自信です。「よくわからないけど、諦めさえしなければ、きっとうまくいくはず。私は短所もたくさんあるけど、長所もたくさんあり、今の自分が好きだ。」なんて思えたらこの世の中を生きていてどんな困難にも、めげずに乗り越えられそうですよね。それほど、実は高いセルフエスティームは生きて行く際に強い味方になるのです。それでは、セルフエスティームを高める育児法を5つ紹介したいと思います。今回ははまず2つを紹介したいです。 1. 褒めるより励ます 「褒めて育てる」というのが流行っています。しかし、一歩間違えればかえって悪影響を与 […]


セルフエスティームと自尊心は同じもの?

前回自分を信じることがセルフエスティームと言いましたが、決して自尊心とは違います。多くの本にセルフエスティームを自尊心と訳してありますが、筆者はセルフエスティームと自尊心は違うと思うのです。 友達にいやなことを言われ「自尊心が傷ついた(私は結構できる方だと思っていたけど、ひどいことを言われ傷ついた)」と表現するのですが、この時の自尊心はけしてセルフエスティームではないのです。セルフエスティームとは人に何かを言われたぐらいで簡単に傷つくものではないのです。つまり、よく使われている自尊心とは他人が自分をどう評価するかが重要であります。 他人と自分を比較し、も […]


強い心の源:セルフエスティーム(self-esteem)

KFCの創立者であるカーネル氏は66歳にチキンの営業を始め、1009回も断られます。アメリカの歴代大統領であるリンカーンは、事業に失敗を2回、落選は4回、47歳で副大統領にも失敗し、51歳でやっと大統領になりました。エジソンも、ライト兄弟も失敗と挫折なしに、発見もなかったという事実は言うまでもありません。伝記に残る偉人はもちろんのこと、成功に導いた人の中で、すべてがスムーズにいった人は誰一人いないのです。皆沢山の失敗をし、また数多くの挑戦をし、最後に成功を掴んだのです。つまり、もしかしたら何かを発見する、成功するには高い能力よりもむしろ沢山失敗し、挫折を […]


成長の樹4 各発達段階には発達課題がある

各発達段階には発達課題がある 幼児教育研究者の成果の紹介 エリクソン 今回から、研究者の中から代表的な人の発見をたどりたいと思います。その中で、私なりの解釈を付け加えていきたいと思います。 エリクソンは多くの発達心理学者に影響を与えています。佐々木正美先生もエリクソンを学びました。 エリクソン(米国) 乳児期の「基本的信頼関係」確立の重要性を主張、ライフサイクルモデルの構築しました。 エリクソンは人間の成長を8段階に分けて考え、それぞれのライフサイクルを健康に幸福に生きていくためにはそれぞれの段階で、解決しなくてはいけない発達課(CRISIS)があると説 […]


成長の樹3 EEE(Evolutionary 進化的に、Expected 期待された、Environment 環境)

EEE(Evolutionary 進化的に、Expected 期待された、Environment 環境) 注目すべきは、近年、脳科学の進化が著しく、子どもの脳の発達の順序、様子、各種脳内ホルモン等との関連が最新の脳科学で解明され、どの様な子育て・教育が望ましいか、または子どもを損ねるのかが次第に分かってきたことです。今までは膨大な子どもの観察から得られた知見が、脳科学の進化により、脳の作用の内側から解明されてきたことです。また、海外における多くの研究、実践によって多くの新しい事実が分かってきました。 日本の脳学者の中にも、『世界一の子ども教育 モンテッソ […]


成長の樹2 多くの幼児教育の研究者たちが発見した共通のこと

多くの幼児教育の研究者たちが発見した共通のこと 子どもを健全に育成し、「伸びる子に育て」、生き甲斐のある人生を送れるように育てるには、どの様にすれば良いのでしょうか。その答えを探すために、信頼性の高い、児童精神医学、臨床医、発達心理学等に携わる研究者たちの研究成果を見てみると、全て、同じ方向性の発見です。研究で明らかになったことをいろいろな角度から主張していますが、方向性では同じなのです。 このことは前回も述べました。 名前を挙げるならば、エリック エリクソン、アンリ ワロン、ロバート エムディ、マーガレット マーラー、ジェームス マスターソン、ドナルド […]


心理カウンセリングとは?

心理カウンセリングとは悩みを自分でコントロールできず、日常生活に支障をきたす時に受けるもの、もしくは精神科治療と並行して受けるものだと思っていませんか? もちろん、上記の様な理由でカウンセリングをされる方もいらっしゃいますが、本来カウンセリングはもう少し身近なものとしてとらえて良いと思われます。悩みの種類も人それぞれであるのと同じようにその感じ方も人それぞれなのです。つまり、どんなささいな悩みでもカウンセリングを受ける立派な理由になります。 カウンセリングは、本人の悩みの深刻さと関係ないだけではなく、予防の意味で受ける事も可能です。西洋では予防のプロセス […]


グローバルリーダーの育成(8) ~ 『失敗の本質』の本質~

再び注目される『失敗の本質』 小池百合子東京都知事は『失敗の本質~日本軍の組織論的研究~』(中央文庫)を愛読書として繰り返し読んでいるという。私の知り合いでも読んでいる人が多い。特に、最近シャープや東芝など、日本の大手老舗企業の様子がおかしくなったので、同書は再び注目されているようだ。   失敗は繰り返される 『失敗の本質』は「日本軍の組織の組織的研究」ではあるが、失敗は戦前の日本軍にとどまらず、日本全体の問題として当てはまり、戦前戦後の国家戦略から企業の運営に至るまで繰り返されている。何故なら、『失敗の本質』の本質は、日本型のリーダー育成の教 […]