吉田瑞稀


About 吉田瑞稀

聖心女子大学(卒) 人間関係学専攻 UCL University of London大学院(卒) MSc in Psychoanalytic Developmental Psychology (修士:精神分析的な発達心理学専攻) 淑明女子大学院 児童心理治療専攻(博士課程終了) プレイセラピスト

3-3 大人のレジリエンスを高める方法 ~育児と発達心理~

3章 レジリエンス (特別コラム) 大人のレジリエンスを高める方法 ~育児と発達心理~ 子供のレジリエンスを高めるために一番大事なのは子供に精神的にもっとも大きい影響を及ぼしている養育者のレジリエンスを高めることです。養育者の言動を見て子供は自然とそれを真似るようになるからです。それでは、大人のレジリエンスを高める方法を3つ簡単に紹介したいと思います。 1.規則正しい運動でストレスを溜め込まないようにしましょう。 週に3回以上、一回30分以上の運動が効果的だと言われています。一度に過度な運動はむしろ害となります。ハーバード大学の精神科の医師であるジョンラ […]


3-2 レジリエンスを高める育児法 ~育児と発達心理~

3章 レジリエンス 2節 レジリエンスを高める育児法  ~育児と発達心理~ 「自分の失敗を笑い、そしてそこより学べ。自分の苦労を笑い草にしつつ、それから勇気をかきあつめよ。困難を笑い飛ばしながら、それに打ち勝て。」これは人気小説「赤毛のアン」に出て来る言葉です。赤毛のアンはレジリエンスの代表的な人物と言われています。彼女は孤児として不幸な子供時代を過ごして、恵まれていない状況にあったのにも関わらず、賢くて愛情あふれるきちんとした女性に育ちます。彼女は緑屋根の家に住んでいる心が温かい老夫婦の養子となることをきっかけに愛情あふれる環境、いい友達関係、近所との […]


3-1 レジリエンスとは? ~育児と発達心理~

3章 レジリエンス 1節 レジリエンスとは? ~育児と発達心理~ 「一人の子どもを育てるには、一つの村が必要である。(It takes a village to raise a child.)」これはアフリカのナイジェリアで言い伝われていることわざです。子供一人を育てるのに一つの村全体の大人達の知恵と協力が必要であるという意味です。日本では子供一人を育てるのに必要な教育費(幼稚園から大学まで)は780万円から3000万円と言われています。つまり、子供一人を育てるには社会全体の知恵や協力だけではなく、経済的にも相当な負担がかかるということです。大事な我が子 […]


セルフエスティームとレジリエンスへの影響 ~ 育児と発達心理学講座 ~

2章 愛着 3節 セルフエスティームとレジリエンスへの影響 育児と発達心理学講座 一覧 「成功とは失敗がない状態ではなく、困難や試練を克服した状態の事を言う」。筆者が最近読んでいる本の書き出しに書いてある言葉です。この本によると、偉人達は大変な困難や試練を乗り越えて、偉人になったのではなく、むしろ困難や試練にぶつかったため、偉人になったのだと記されています。つまり、困難や試練を経験した時、挫折し諦めるのではなく、自分の能力を信じ続け、努力を惜しまなかったとからさらに成長することができた結果、偉人と呼ばれるようになったわけです。もしかしたら、どんな状況でも […]


愛着の社会性と情緒発達への影響 ~ 育児と発達心理学講座 ~

2章 愛着 2節 愛着の社会性と情緒発達への影響 育児と発達心理学講座 一覧 「これからはIQよりもEQの時代」 この言葉を一度は耳にした事があると思います。これからの時代は、認知知能(IQ)よりは情緒知能(EQ)の方が大事になると言う意味ですが、確かに、社会との関りを欠かせない人間にとって社会性の根本になる情緒の発達はとても大事であることは間違いありません。実はこの情緒発達と社会性発達に大きな影響を及ぼすと言われている理論があります。乳幼児は養育者との愛着形成の過程で様々な情緒を感じ、またそれによって社会性の発達にも結び付くとの研究結果はたくさんあるの […]


育児は愛着から ~ 育児と発達心理学講座 ~

2章 愛着 1節 育児と発達心理学講座 一覧 初めて妊娠した時のこと覚えていますか?初めて目にする超音波写真から我が子を見つけようと必死になってはいませんでしたか?よく探さないと見つからないその小さい点が我が子だと知った時の感動を覚えていますか?しかし、その感動もつかぬ間、迫ってくる出産と育児への不安の嵐が待ち伏せています。そこで、先輩ママ達の経験話に耳を傾け、育児書を読み漁ったお母さんも少なくはない事でしょう。 しかし、残念ながら育児には答えがありません。そして、育児書通りにもいかないのが現実の我が子の育児なのです。しかしながら、どうか不安に思わないで […]


0歳から2歳までの運動発達 ~ 育児と発達心理学講座 ~

1章 2節 育児と発達心理学講座 一覧 生後1年間は赤ちゃんの運動発達の著しい変化がもっとも多く見られる時期です。 親は我が子の成長を写真や動画にもたくさん残すために常にカメラを手元に置いている時期でもあります。下記の表はこの時期の運動発達について簡単に表したものです。 頭も支える事ができなかった赤ちゃんが立ち始め、歩き出し、走れるようになることに親として大変感動して、胸が一杯になる瞬間だと思います。「いつかな?いつかな?」と早く立って歩くところを動画に残したくて、子供を急かしてしまったりする親もいるかもしれません。でも、決して焦らなくても大丈夫です。ハ […]


0歳から2歳の睡眠時間 ~ 育児と発達心理学講座 ~

1章 1節 育児と発達心理学講座 一覧 0歳から2歳までの育児で、多くの養育者が悩むことの一つが赤ちゃんの睡眠時間です。大人は夜5~7時間ぐらいは途中で目を覚ますことなく寝る事ができますが、赤ちゃんにはまだ夜の感覚はありません。昼夜関係なく起きて泣くのが赤ちゃんなのです。特に新生児は2,3時間ごとに起きて、授乳を求める子もいますので、この時期の親は授乳とオムツ替えそして寝かしつけるのに追われて睡眠不足になりがちです。しかし、この状況がいつまでも続くわけではありません。徐々に夜寝る時間も増えていき、親よりも夜長く寝る時期がやってきます。 赤ちゃんの標準的な […]


新型コロナウィルスによる学校の対策

(韓国、アメリカ、日本の比較) ~ そこから見える日本の小学校の対応、その問題点と今後の課題 ~ 4月4日東京で新型コロナウィルスの感染確認された人は118人になり、とうとう1日の新たな感染者数が100人を超えました。2月の末、休校から始まった「無理やり春休み」はもうすぐ終わります。しかし、新型コロナウィルスは収まるどころかますます増え、東京だけで、一日の感染者数の新記録を日々更新中です。現在、日本の感染者数は氷山の一角でしかないと海外では言われています。感染者数が世界で一番多いアメリカでさえ(2020年4月4日基準)、在日アメリカ人の帰国を呼び掛けてい […]


愛着行動は哺乳類の本能

「我が子が可愛ければ、決しておんぶ抱っこをするな!」、「泣いている子をあやすな!」現代では考えられない育児法ですが、これは1950年代、実際アメリカでもてはやされていた育児法です。実は当時、スキナーもフロイトも「スキンシップは子どもをダメにする近道」と主張していました。とにかく、親は我が子を強い子に育てるために、とてつもなく厳しい育児をしていました。新生児でさえ、親と離れて寝かされ、夜泣きをしても決して、あやしてはいけないと信じていました。つまり、親の役割とはただ栄養バランスの良い物を食べさせ、手入れの行き届いた洋服を着せれば良いと思っていた時代です。し […]


養育者のセルフエスティーム(自尊感情)と世代間伝達

「我が子に自分みたいな人生を送って欲しくない」、「自分よりはもっと幸せになって欲しい」と思ってはいませんか?もし、そうであるとしましたら、子育てを見直す必要があると思います。なぜならば、親のセルフエスティームは愛着と同じように世代を受け続き伝達するからです。(詳しくは筆者の「愛着タイプと養育の特徴」をご覧になってください。)つまり、親が高いセルフエスティームを持つと子供も高いセルフエスティームを持つ可能性が高いとのことです。 まず親のセルフエスティームを知るために表1.にMimura & Griffiths (2007)がRosenbergのセル […]


人格形成とセルフエスティーム(4高)

ハーバード大学のジョセップ教授は「セルフエスティームは、成功するのに必要な要素の一つである。」と主張しました。環境にあまり影響されず、自分を信じ、ありのままの自分を受け入れることができるセルフエスティームは、万が一失敗したとしてもその挫折感は軽いはずです。つまり、失敗にめげない事はトコトン挑戦し続けるエネルギー源となり、数多い挑戦は成功する確率をも上げるわけです。要するに、セルフエスティームがその人の人生に大きくかかわっていると言えるでしょう。 それでは、高いセルフエスティームはどのような人格形成に影響を及ぼすのでしょうか? セルフエスティームが人格形成 […]


セルフエスティームを高める育児法2

3. 安心して自分の考えを話せるような環境づくり。 人間は様々な感情をもっています。肯定的な感情も否定的な感情も人間だからこそ感じる大切な感情なのです。子供が感じる肯定的感情だけではなく、否定的な感情も受け入れましょう。子供は自分の否定的な感情も親が受け入れてくれれば、自分の感情をそのまま表現しやすくなります。その否定的な感情さえ受け入れてあげることが子供に自分が愛されている、あるがままに受け入れてもらえていると感じさせる最高の方法だと思います。親としては難しいことかもしれません。教育をしなくてはという気持ちが強いからこそ、子供の否定的な感情の時、否定を […]


セルフエスティームを高める育児法1

セルフエスティームとは簡単に言えば、根拠のない自信です。「よくわからないけど、諦めさえしなければ、きっとうまくいくはず。私は短所もたくさんあるけど、長所もたくさんあり、今の自分が好きだ。」なんて思えたらこの世の中を生きていてどんな困難にも、めげずに乗り越えられそうですよね。それほど、実は高いセルフエスティームは生きて行く際に強い味方になるのです。それでは、セルフエスティームを高める育児法を5つ紹介したいと思います。今回ははまず2つを紹介したいです。 1. 褒めるより励ます 「褒めて育てる」というのが流行っています。しかし、一歩間違えればかえって悪影響を与 […]


セルフエスティームと自尊心は同じもの?

前回自分を信じることがセルフエスティームと言いましたが、決して自尊心とは違います。多くの本にセルフエスティームを自尊心と訳してありますが、筆者はセルフエスティームと自尊心は違うと思うのです。 友達にいやなことを言われ「自尊心が傷ついた(私は結構できる方だと思っていたけど、ひどいことを言われ傷ついた)」と表現するのですが、この時の自尊心はけしてセルフエスティームではないのです。セルフエスティームとは人に何かを言われたぐらいで簡単に傷つくものではないのです。つまり、よく使われている自尊心とは他人が自分をどう評価するかが重要であります。 他人と自分を比較し、も […]


強い心の源:セルフエスティーム(self-esteem)

KFCの創立者であるカーネル氏は66歳にチキンの営業を始め、1009回も断られます。アメリカの歴代大統領であるリンカーンは、事業に失敗を2回、落選は4回、47歳で副大統領にも失敗し、51歳でやっと大統領になりました。エジソンも、ライト兄弟も失敗と挫折なしに、発見もなかったという事実は言うまでもありません。伝記に残る偉人はもちろんのこと、成功に導いた人の中で、すべてがスムーズにいった人は誰一人いないのです。皆沢山の失敗をし、また数多くの挑戦をし、最後に成功を掴んだのです。つまり、もしかしたら何かを発見する、成功するには高い能力よりもむしろ沢山失敗し、挫折を […]


Q:今年幼稚園に入った娘が偏食です。特に野菜を食べてくれません。野菜をあまりにも嫌うので、野菜ジュースを飲ませてはいるのですが、毎日毎日野菜ジュースばっかりだと栄養の面でも心配です。少食で偏食がひどい娘をどうすればいいでしょうか?

ご飯をむしゃむしゃ食べている我が子を見ているだけで、親は嬉しさでお腹がいっぱいになるものです。半面、子供に少食や偏食がありましたら、とてつもなく心配になるのも親です。 子供がご飯を拒む理由は医学的には、胃が弱い、消化不良などの理由があげられると思われますが、ここでは、食習慣が原因で少食や偏食をする子供が向けの方法を紹介したいと思います。(子供の身長や体重が平均より大きく下回っていれば、かかりづけの小児科に来院することをお勧め致します。) ①  一日三食とも規則正しく同じ時間に食べさせる。 朝、昼、晩同じ時間に食事をすることは胃の健康にも良いですし、特に朝 […]


心理カウンセリングとは?

心理カウンセリングとは悩みを自分でコントロールできず、日常生活に支障をきたす時に受けるもの、もしくは精神科治療と並行して受けるものだと思っていませんか? もちろん、上記の様な理由でカウンセリングをされる方もいらっしゃいますが、本来カウンセリングはもう少し身近なものとしてとらえて良いと思われます。悩みの種類も人それぞれであるのと同じようにその感じ方も人それぞれなのです。つまり、どんなささいな悩みでもカウンセリングを受ける立派な理由になります。 カウンセリングは、本人の悩みの深刻さと関係ないだけではなく、予防の意味で受ける事も可能です。西洋では予防のプロセス […]


安定した愛着形成のためにできること

安定した愛着形成のためにできること。 多くの母親は子供が生まれたこと、母になれたことの嬉しさもつかぬま、様々な不安に襲われると思います。「私の子育てこのままでいいのかな?」、「ぐずる我が子何か問題でもあるのかな?」、「寝つきが悪いけど大丈夫かな?」、「難しい気質の我が子、どう接すればいい?」、「安定した愛着形成のためにはどうすればいいのかな?」という不安の嵐に巻き込まれるのです。 はじめから母親という役割を上手にこなせる人は誰もいません。我が子と関係するすべてのことに自信をなくしたり、不安に思うのは当然なことなのです。その次から次へと襲ってくる不安からつ […]


愛着形成の発達

愛着形成の発達 赤ん坊はママにべったりですよね。ママになった喜びはつかのま、一日一日が力いっぱいで一つ一つのハードルを乗り越える陸上競技のよう9に大変な毎日が待っています。まだ産後の体調も回復できていないのに一晩中寝て起きてを繰り返し、授乳をしていたらいつの間にか夜が明けていたという毎日を送ることになるでしょう。授乳だけが大変ではありません。何しろ赤ん坊はママにべったりしていなくてはならない存在なので、ママがお手洗いに行く時も、お風呂に入る時も手加減してはくれません。抱っこしたまま、時には母乳をあげながらお手洗いに行かなければならないという過酷な現状も受 […]