新型コロナウィルス、COVID-19の流行は、間違いなく2021年度小学校受験考査に影響を及ぼす。長引いた休校、休園、学校説明会等公開行事の相次ぐ中止による情報過疎、幼児教室にも通えず、受験準備は停滞、更には9月入学なども議論され、今年の年長児はウィルスに翻弄されることとなる。一連の影響が、秋の考査をどのように変えるのか、現時点でもはっきりしていることをお伝えする。受験を制する者は情報を制する者。知ることは受験準備を有利にする。是非頭に入れておいていただきたい。
<三密対策>
入試を行うことは止むを得ない。しかし、あくまで「十分な対策の上で」となる。ただでさえ大人数が一時に集まって行われる入試。学校はどのような対策をし、それにより何が起こるのか。
1)集合人数の削減
たとえば白百合学園小学校は、集合時間帯がこれまで1つだけだ。例年受験番号が300番前後まであるので、300人が一堂に会するということ。明らかに三密。この対策を学校側は必ずする。つまり、一回に集める人数を減らす。一教室に入る子どもの数を制限するはずだ。すると何が起きるか。集合時間枠が増え、これまでの時間予想が成り立たなくなる。例年なら、この月齢、あるいはこの辺りの番号を取れば「何時に始まって何時頃終了する」という予想が立つが、今年はできない。枠が増えることで、考査日程も増える可能性がある。つまり、併願予想が全く立たなくなる。
たとえば聖心女子学院初等科は、2020年度入試よりWEB出願となり、出願順の早い者勝ちではあるが、11/1の集合時間が?8:00と②9:40から選択可能となった。考査は約2時間で、早組が出る前に遅組が集合する計算だ。早組を取れば、10時には終わる。そうすると、たとえば11/1午後に女子の考査が行われる成蹊(願書の出し順で?12:10と②13:40集合の操作も可能)や、生年月日順で大きい子は12:50集合になる田園調布雙葉、同様に生年月日順で?8月後半~6月中旬生まれ・12:35、②6月中旬~4/2生まれ・13:25集合となる日本女子大学附属豊明小学校など、大事な大事な11/1に2校掛け持つことも可能と予想できた。
しかし、今年は昨年通りの考査日時になるとは限らない。第一志望校が決まり、日時が重ならない中から併願校を絞るのが定石だが、今年は予測不可能だ。ともかく第一志望校に集中しつつ、どこを受けることになっても通用するよう、オールマイティーに準備しておくしかない。
2)考査内容の変更
ペーパー、個別、絵画・制作、巧緻性、運動、あるいは面接といった課題は、一時間帯に集める数や距離を調整すればそれなりに対応できる。それに起因する例年との齟齬はさほど大きくないだろう。問題は、行動観察だ。一空間に存在するグループの人数、グループの数、それにも配慮が必要となる。どうにかして一堂に会する数、距離を減らさなくてはならない。その場合、考査内容が過去問通りとはならない可能性が高くなる。とくに、大きい人数でグループを作成し、各グループが競ったり、関わり合ったりといった傾向が強い学校では、否応なく改善が求められる。例年通りの考査内容から、大きく変わる可能性は高い。まさに予測不可能だ。過去問が役に立たないのが今年なのかもしれない。
3)マスク対応
2020年11月1日に、子どもに対してどれだけマスク対応が求められているかは不明だ。しかし、可能性としては考えておかなくてはならない。現時点では、「マスク熱中症」が懸念されている。11月の考査時、寒い日もあれば暑い日もある。温度調節の非常にむずかしい時期だ。暑いと仮定した場合、一か所に多くの子どもが集まる考査の環境の中での激しい運動は、マスクによる暑さ増加が懸念される。考査中のリスクを最大限避けたいと学校は考えるはず。そうなると、あまり激しい運動は敬遠される。ここでもまた、これまでの経験値からは予想できない事態、考査内容の変更や、合格する子ども像の変容といったことも起こり得る、ということだ。
4)ソーシャルディスタンシング
ウィズコロナの世の中は、11月も間違いなく続いている。その中で、社会的距離の意識は子どもの中にどれだけ深く根を下ろしているだろうか。自分だけを守りたいといった姿勢ではなく、相手に十分配慮し、相手を気遣うからこその行動。そういう素養があるかを判断するには学校側にとって格好の観点となり得る。「うつるから来ないで」ではなく、相手をしっかりと尊重した上で、「間隔を取りましょう」と笑顔で伝えられる態度。それは、親の背中を見ることでしか身につけることはできない。
5)コロナから何を学んだのか
幼稚園、保育園が休みになり、外出もできず、友達にも会えない。不平不満ならいくらでも言えるだろう。ゲームばかりやることもできたはずだ。でも、その中から自分の成長につながるものを、積極的、能動的に見い出せたのか。今はこの枠の中でしか動けない。でも、その枠の中で最大限の自分を発揮できたか。不自由の中の自由。それを見つけられる人間であるのか。そういった視点を持って、今年は学校側は子ども、あるいは家庭を判断することだろう。足りないことばかりを探し嘆くのではなく、与えられた状況をいかに有意義に活用したのか。神様は私たち一人ひとりに使命を与え、そのための賜物を与えてくださっている。すべてに感謝し、何事も前向きに受け止め、どんなことでも自らのチャンスと捉えて何かしらでも学ぶ、そういう姿勢に満ちた常に向上できる人間なのか。今からでも遅くない。与えられた日常の時間を丁寧に過ごし、子どもとともに成長する家庭であっていただきたい。
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