0歳から2歳までの運動発達 ~ 育児と発達心理学講座 ~


1章 2節
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生後1年間は赤ちゃんの運動発達の著しい変化がもっとも多く見られる時期です。
親は我が子の成長を写真や動画にもたくさん残すために常にカメラを手元に置いている時期でもあります。下記の表はこの時期の運動発達について簡単に表したものです。


頭も支える事ができなかった赤ちゃんが立ち始め、歩き出し、走れるようになることに親として大変感動して、胸が一杯になる瞬間だと思います。「いつかな?いつかな?」と早く立って歩くところを動画に残したくて、子供を急かしてしまったりする親もいるかもしれません。でも、決して焦らなくても大丈夫です。ハイハイの過程を飛ばして、壁などに捕まり歩き出す子もいます。ハイハイの形もお腹をつけてハイハイする子もいれば、手と足の力でハイハイする子もいます。つまり、発達段階は様々な面で個人差がありますので、焦る必要はありません。むしろ、我が子を早く歩かせたいという気持ちが先走ってしまい、手を掴んで歩く練習を強制的に行いますと、子供が歩く行為自体に否定的な気持ちを抱く可能性もありますので注意しましょう。「自分はこんなこともできない人」という否定的な自我像(self-image)を作る事にもなり得ます。
運動発達情緒発達と共に発達します。どちらかの発達が遅れると、その影響でもう一つの発達も遅れるのです。つまり、身体的に何の問題もないのに心理的に不安になりがちな子供や気が弱い子供は、歩くのが遅い場合が多いです。このような子供は、また手指などを使う微細運動も遅れる傾向があります。何もかもチャレンジし、体を動かさないと発達しませんが、怖がり臆病になり、それがなかなかできません。すると、動かないので運動発達が遅れ、また運動発達が遅れるため否定的な自我像(self-image)を作り子供の情緒発達に悪影響を及ぼす悪循環が繰り返されます。しかし、脳の発達上の問題で遅れる場合もありますので、この様な場合は専門家に相談をしてみましょう。

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2020年4月11日
発達心理学担当 吉田 瑞希


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About 吉田瑞稀

聖心女子大学(卒) 人間関係学専攻 UCL University of London大学院(卒) MSc in Psychoanalytic Developmental Psychology (修士:精神分析的な発達心理学専攻) 淑明女子大学院 児童心理治療専攻(博士課程終了) プレイセラピスト