通信講座「はじめに」


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受験を成功させるためには「親の学び」は不可欠といえます。また目の前の受験に必死になるあまり短視眼的にならず、長期的、広い視野を持ち受験に臨むことが大切です。
この通信講座が皆さまの視野を広げ、聡明な選択の一助となれば幸いです。
先ず、日本の教育と世界の変化についの概要を述べたいと思います。
詳細な議論は、通信教育の中で述べさせていただくことになります。

世界の教育改革
1990年代から世界は教育改革の時代に入りました。例えば、韓国では小学校低学年から英語教育、IT教育を取り入れました。この動きは中国やシンガポールなどの他のアジアの国でも同様でした。
フィンランドでは、1989年にソ連邦が崩壊しその影響で、貿易が激減し国家の危機を迎えました。そこで、現場に権限を委譲して大胆な教育改革を行いました。他の北欧諸国でも同様の改革が行われました。

日本の教育改革
ところが、日本では教育改革も産業政策の改革も行われず、1994年にGNPのピークアウトをした後、停滞の一途をたどり、現在に至っています。1980年、中曽根内閣のとき、教育審議会の答申で、教育改革の必要性が指摘されました。国鉄民営化を推進した筆者の恩師加藤寛は1990年の湘南横浜キャンパスの開設に尽力し、総合政策学部の初代学長に就任しました。横浜キャンパスはこれからの情報科学と、政策の学際的アプローチを重視した画期的な大学側の教育改革でした。
しかし、その後の日本の教育改革は進みませんでした。それは、やはり政治的なものと言わざるを得ません。

教育改革、産業政策改革
1990年前後は世界のグローバリゼーション(サプライチェーン革命)とIT革命(第三次産業革命 デジタル革命)の兆しがあり、各国は教育政策と産業政策をその変化に合わせて変革したのでした。その変革に成功した国はその後皆成長路線をたどりました。未来予測をして、将来の産業政策改革を行う場合は、先行して人材教育を行う必要があります。ですから、各国はグローバリゼーションに合わせて英語教育IT教育を始めました。
例えば韓国では金大中大統領が「これからは英語が大切だと」演説しました。またIQ教育よりIT教育を強化しました。同時にインチョン空港を国際ハブ空港、仁川港を国際ハブ港にし、来るべき時代に対応しました。当時韓国は通貨危機を迎え、IMFの支援を受けていました。今では一人当たりのGNPで日本を抜こうとしています。

1990年代からの第三次産業革命(デジタル革命)はICとプログラミングによる自動化、省力化が主流であった。これと同時にグローバリゼーションが始まった。各国はこの潮流に合わせて未来の産業政策を立て、教育改革を行った。なぜなら、将来の産業を担うのは人材であるからだ。
日本が適切な教育改革、産業政策の変革を行わなかったのは、政治家を含め、日本のエリート層の人材に未来に向けての戦略が描ける人が少なかったからです。むしろ、戦前に回帰することを望む政治家も多いのが現状です。「教育勅語」に憧憬を持つ政治家が多い。

日本の教育改革の歴史
岩倉具視と長州ファイブ他留学生総勢107名は明治4年から明治6年にかけてアメリカ合衆国から、ヨーロッパ諸国を巡りました。その中でもプロイセン(ドイツ)の政治体制に共鳴して、帰国後日本に天皇を中心とする中央集権の政治体制改革をもたらしました。
そのために、西郷隆盛一派をパージし、明治10年西南戦争で滅ぼし、福澤諭吉一派を「明治十四年の政変」により下野させた。教育においてはプロイセン型の教育体制を敷いた。

プロイセン型教育
自分の頭で考えられる人間を育てるのではなく、忠実で従順な市民を生み出すことに目的があり、「授業時間」や「教科」が細かく分かれていて、内容も細かく規定されている。生徒たちが所定のカリキュラム以上のことを考える余地を与えない。工業化時代にはある意味理にかなっていた。
日本は「学校教育法」一条で規定するいわゆる「一条校」の小学校から高校まで「学習指導要綱」が定められており、教科書の検定制度も存在し、中央集権的な教育制度が続行されている。

第四次産業革命(IT情報革命)における教育
現在はデジタル革命が更に進化し異次元の世界を作り出しつつあります。変化は急激です。また、地球温暖化の課題もあります。産業構造も教育もこの変化をとらえて変革しなければなりません。
情報(知識)に乏しかった時代には情報(知識)を与えることに意味があったが、現在では、指先一つで色々な情報を得ることができます。従って、教師が生徒に単に情報を与えるのではなく、それを分析し、選択し、組み合わせて問題を解決したり、新しいものを創造する力を与えることが教育であり、教師の役割となってきました。
世界では「伝統的な暗記教育」から「先進的な教育」への変革が進んでいます。大量の情報を結び付け、幅広く捉え、問題・課題解決や時事代の新しいニーズに合ったものを創造する能力が必要になってきました。
ユヴァル・ノア・ハラリは『21 Lessons』にてcritical thinking, communication,collaboration,creativityの能力が必要としています。私はこれに加えてcuriosityを追加します。
フィンランドやデンマークでは1990年代の初めに「先進的な教育」に転換しました。アジア的な伝統型教育が行き渡っていたマレーシアでは「教育の多様化」が図られ、「21世紀型」「折衷型」のインターナショナルスクールが100校以上あり、更にSTEMやオルターナティブ教育、ホームスクールが混在し、国際バカロレア、モンテッソーリ教育等、家庭で教育を選べる様に喧嘩してきました。詰込み型の教育に力を入れてきたシンガポールも1997年に「考える学校、学ぶ国民」政策で、試験のための政策から、確信慮、創造力等を重視する教育改革を行ってきました。また、あの中国ですら、2021年に教育方針の変更を発表しました。学習塾の新設も認めなくなりました。PISAランキング上位のシンガポールと中国の変化は何を意味するのでしょうか。それはPISAランキングで上位に入る国と、企業の盛んな国が反比例することが分かって来たからです。
OECDが48ヶ国の賞中学校の教員を対象に行った調査(2018年度)があります。日本の中学校教員については以下の項目において顕著に低いことが判明しました。「批判的に考える必要がある課題を与える」という項目に関して、
アメリカ(78.9%)
カナダ(76%)
シンガポール(54.1%)
中国(53.9%)
48ヶ国平均(61%)
日本(12.6%)
日本はダントツの最下位でした。

日本の文科省も「アクティブ・ラーニング」等の教育改革を進めていますが現場は中々変わっていきません。教師も親達も従来型の教育に慣れていて、脱却できないのです。大学入試も従来型から脱却できません。予算も少なく、教師のサポートも手薄です。また、学習指導要領通りに行っていては、こなしけれません。教育改革は強い政治力で政府が本気を出して取り組まなければ達成できません。中央集権的な管理体制を緩め、教育の多様性を育成すべきです。しかしながら、政治の中枢にいる人たちが「教育勅語」に憧憬を抱いている現状では、望みが薄いといえます。政治の問題にはここでは余り触れたくありませんが、安倍元首相が「教育勅語」を校訓の様に謳っている森友学園に肩入れしたり、荻生田元文科大臣の事務所に「教育勅語」が掲げてあったりする現状では、早急変革は期待できないでしょう。
コロナ禍での対応、リモート教育の取り組み等、私立校の優位性が見直されてはいますが、「21世紀型」教育への対応はまちまちです。受験者は、ただ名門校であるというだけでなく、どの様な教育を実践しているのかを調べ、聡明な選択をすべきです。
また、大切なことは、学校で与えられていることが必ずしも十分条件でないと思い、足りないところは家庭で補う必要があります。それは、学校の勉強を先取りするために塾に行かせるということではなく、子どもの興味を育て探求心に変え、それをサポートしたり、人生の早い時期に英語の音声識別能力を身につけさせたりすることです。
私の知人は、子どもの個性を大切にする私立小に進学させましたが、英語教育には余り取り組んでいない学校なので、小学生になってから、英語で小学校の内容を教えるホームスクールに通わせています。将来は、アメリカのアイビーリーグの大学か大学院に学ばせる目的がはっきりしています。日本の大学教育には余り期待していないようです。

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