成長の樹2 多くの幼児教育の研究者たちが発見した共通のこと


多くの幼児教育の研究者たちが発見した共通のこと

子どもを健全に育成し、「伸びる子に育て」、生き甲斐のある人生を送れるように育てるには、どの様にすれば良いのでしょうか。その答えを探すために、信頼性の高い、児童精神医学、臨床医、発達心理学等に携わる研究者たちの研究成果を見てみると、全て、同じ方向性の発見です。研究で明らかになったことをいろいろな角度から主張していますが、方向性では同じなのです。 このことは前回も述べました。
名前を挙げるならば、エリック エリクソン、アンリ ワロン、ロバート エムディ、マーガレット マーラー、ジェームス マスターソン、ドナルド ウイニコット、さらにブルース ペリー、リーパーマンなどが挙げられます。日本では児童精神科医の佐々木正美教授(「ぶどうの木」主宰)が上記事項に関する、保護者にも読みやすい本を多数上梓されています。
マリア・モンテッソーリや、その影響を受けた、シルバーナ・モンタナーロ博士達も 0 歳~2 歳が極めて大切だと力説します。また、マリア・モンテッソーリは『創造する子供』の中で「人間はこの世に生まれ出た時から始まる第一期の頃が確かに一番豊かなのだ。考え得るあらゆる可能な手段を使ってこの時期を教育の上で活用しなくてはいけない。この期を失すれば取り返しのつかないことになる。人生の初めの数年を無駄にせず、最高の注意を払って教育するのが我々の義務である」と述べています。
しかし、マリア・モンテッソーリは、子どもの IQ を高めるための特殊なトレーニング(害になることもある)が必要と言っているのではなく、「生まれながらにして備わっている精神力が発達するのを手助けする点に教育的配慮がなさなければなりません」。ここでいう精神力とは、生命が本来持っている、「自ら成長しようとする DNA」のことと解釈しておきましょう。
つまり、赤ちゃんや子どもには、「自ら発達しよう」とする「命の力」があります。それを引き出してあげる(educate)のが本来の子育て・教育です。マリア・モンテッソーリを始めとする多くの教育者がこの立場です。広義で言えば、福澤諭吉も同じ教育観・子育観に立っています。このことは別の機会に述べます。「子どもは自分自身の内面に既に生まれながらにして持っている綿密な発達の計画に従い、『人間』を築くために疲れも知らずに励んでいる」(モンテッソーリ著『創造する子ども』)。
最近のIT大手の創業者にモンテッソーリで教育を受けた人は多いのは驚きに値します。このことは別の機会に述べます。
モンテッソーリはイタリアで初めての医者でもありました。このことから、分析的で科学的な思考法を育みます。お子さまを将来医者に育てたい方にもお勧めできる教育法でもあります。


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About 安藤徳彰

(あんどう のりあき) 慶應義塾大学卒業後、ペンシルバニア大学大学院(ウォートンスクール)にてMBA取得。 ICE幼児教室、ICE私立専門塾などを創業。2014年6月に教育部門の運営を栄光グループにバトンタッチし、株式会社栄光の教育顧問に就任。 2015年10月に株式会社栄光顧問退任