先日、精神科医の川畑先生が『子どもの精神療法』という本を書かれたので、出版祝いをセラプレイセンターの数名で行いました。家が近かったので、ご自宅近くまで車でお送りする道すがら、お互いに、最近の日本の子育て、教育状況を危惧する言葉が行き交いました。「本来ならば、どの様に対処すべきかもっと社会のムーブメントになってしかるべきだ」というのが共有の思いでした。
このコラムの「ひきこもりの国」とはマイケル・ジーレンジガーが2006年に上梓した本のタイトルで、内容は「引きこもりの国 ―日本 100万人の若者を自閉させるこの国の悲劇―」といってもよいでしょう。日本、韓国、中国で活躍したジャーナリストで、日本に警鐘をならしながら、韓国に関して「活力に満ちた若者、若い市民が政治を変える」と評し、「活力に満ちた(韓国の)若年成年層が、最先端の企業を起こし、ブロードバンド接続という新しい分野を探求し、携帯電話などのデバイスの新しい用途を開拓している」と述べて、「乗り遅れる日本」と結んでいます。
「引きこもり」の他に、ニート、拒食症、緘黙、悪質ないじめ、意味不明の殺人、境界性人格障害、様々な発達障害、等の若者の社会的不適応の現象は広範囲にわたり、そのほとんどが日本で多いのです。特に「引きこもり」は潜在人口が300万人ともいわれ、日本で突出して多く、日本の社会を蝕み、国力を衰えさせています。『「ひきこもり」に何をみるか』という日本人とフランス人の第一人者たちが編集した本があります。この中で、ある南フランスの精神科医の青年が「ひきこもり」に関する論文を読んだ折、つぶやいた言葉が紹介されています。「フランスの青年なら、ひきこもらずに旅にえるのではないかな・・・・」と。ちなみに「ひきこもり」はフランス語でも、「Hikikomori」という外来語で呼ばれることが」多いそうです。「ひきこもり」は日本特有の現象と言っても過言ではありません。
日本における子育て、教育状況は由々しいもので、アメリカなどの他の国ならば、国家をあげたプロジェクトとして取組み、ビルゲイツ等の財団が巨額の資金援助をしていろいろな試みを立ち上げるところです。日本では危機意識も希薄のようです。日本は経済だけが20年近く停滞していた訳でなく、子育て・教育も同様も同様に停滞していました。それに気が付いていないのです。
このような状況の中で、有志が協力して学びあい、意見を交わし、情報を共有して行くために、「子育てを考えるひろば」(HP)を有志とともに立ち上げました。HPは未だ工事中でありますが、皆様の協力で中身を充実させて行きたいと思います。
私は、長年幼児教室の運営に携わってきましたので、あるべき子育て・教育に関してのイメージはありますが、皆様のご意見を賜り、共に考えて行きたいと思います。よろしくお願いします。